この記事を読むとわかること
アンカークリニック船堀南の内視鏡専門医・指導医が大腸内視鏡検査に関わる内容を、疑問に答える形で記載しています。大腸カメラ検査に関して不安や疑問がある方の問題が解決できるように、できるだけ簡単な言葉を使ってわかりやすく説明することを心がけて記事を書いています。
大腸カメラは何歳から必要なの?年齢制限は?頻度は?生理中でも受けられる?
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)を受けるタイミングに関しては、症状の有無で分けて考えるとよいでしょう。
症状がある場合、例えば普段から下痢をしている、腹部の違和感や腹痛といった症状が良くならない、便秘で困っている、血便があるなど、おなかの症状がある方はまずは医師に相談しましょう。早期に大腸カメラ検査をおこなった方がいいかもしれません。
症状がない方でも、40代に一度は大腸カメラ検査を受けることをお勧めします。大腸がんの発生は、40歳をすぎてから増加していくことが報告されています。『初めて大腸カメラを受けたら、大腸ポリープが見つかった』という方も少なくありません。ポリープは種類によっては将来癌になるリスクがあり、早期に発見して治療(内視鏡切除)できればがんを予防することに繋がります。
一度大腸カメラ検査を受けると、ポリープの有無や大きさ、種類などによって次に何年後、何年おきに大腸カメラ検査を受けた方がよいかといった事も提案できます。心配な症状のある方、40歳を過ぎて大腸カメラ検査を受けたことがない方は大腸カメラ検査を受けることを念頭に医師の診察を受けるとよいと思います。
大腸カメラ検査に年齢制限は特になく、10代、20代といった若い方でも頻繁に下痢をしている慢性下痢症状では潰瘍性大腸炎やクローン病といった病気(炎症性腸疾患)が隠れている事があります。この病気は大腸カメラ検査でなければ診断がつかないため、若年の方でも医師の診察を受け大腸カメラ検査が必要と判断された場合には、内視鏡検査を受けましょう。
大腸カメラ検査は基本的には安全な検査ですので、初めての方でもそこまで心配する必要はありません。ただし、検査器具を身体に入れるため少なからずリスクを伴います。偶発症のリスクは高齢な方ほど高くなることが知られていますので、注意が必要です。一方、大腸カメラ検査が受けられないケースは、主に重篤な病気があり検査に耐えられないと判断された場合ですので、医師とよく相談して決める必要があります。そういう点で事前診察は必須となります。
また、女性の方の中には、生理中に検査が受けられるかどうかを心配される方もいます。大腸カメラ検査は生理中でも問題なく受けられますので、気になるおなかの症状があるなどで検査希望の女性は気軽にご相談ください。
大腸カメラでわかること、できること
大腸カメラ検査では小腸の一部、大腸、直腸、肛門を腸の中に入れたスコープを使って観察します。腸の内側表面は粘膜というほっぺたの裏のように柔らかい組織でできています。その粘膜をくまなく観察して病気の有無を診察します。ポリープ、がん、炎症、傷痕、肛門の痔や痔瘻といった病気を疑う所見があれば、それをカメラで直接みて診断し、病変によってはそのまま治療したり(ポリープや早期癌の切除など)、組織を採取して(生検)病理検査を行うこともできます。
大腸ポリープは小さなものでは数mm、大きくなると数十cmにも及び、形も出っ張ったものや、薄く平たいものまで様々です。特に平たいポリープは見つけること、診断することが難しいとされています。また癌に関しても同様で、1cmに満たない小さなものから大きなものまであります。進行度も様々で、早期癌で見つかる場合、進行癌となってから見つかる場合と多種多様です。
大腸ポリープ、一部を除いた早期癌に関しては大腸カメラで切除(内視鏡治療)することができますが、発生した部位や大きさによって治療方法、治療に伴うリスクも大きく異なるため、専門医による評価が重要です。大腸カメラのスコープには色々な機能が備わっています。ポリープにも切除が必要なものとそうでないものがあり、正確な診断は切除することでつきますが、切除する前に精密に観察することで高い精度で診断することができます。
当院ではポリープの表面を精密に観察し悪性度を評価することができる拡大観察という機能の備わった高性能なスコープを使用して検査を行っています。日帰り切除が可能なポリープについては、その場での治療にも対応しています。
大腸カメラはどこから入れるの?太さは?検査の流れは?
大腸カメラ検査当日の流れをお示しします。当日朝から腸の中をきれいにする下剤(腸管洗浄液)を指示通り飲みはじめます(患者さんによっては前日薬を服用する必要がある方もいますので、医療機関の指示に従ってください)。しばらくすると排便が始まり、10回近くトイレに通うと徐々に便が固形→泥状→水様便となっていきます。便が透明な液体(色は付いていてもよい)になり、カスがなくなれば検査ができるようになります。
検査着に着替え、検査室で実際に検査が始まります。検査直前には腸の動きを抑える薬を注射します。これは腸が激しく動いているとカメラを入れていく際に痛みが出やすいため、それを和らげる目的があります。なお、患者さんの持病や常用薬によって注射薬が相性が悪い場合もあり使用できないこともあります。準備ができたら検査台に横になり、実際の検査が始まります。
大腸カメラのスコープは先端にカメラが付いた太さ1cm〜1.5cmほどの管です。肛門の診察後にそのスコープをお尻から入れていきます。腸の中に残っている洗浄液や残渣をカメラで吸い取りながら、まずカメラを大腸の一番奥(盲腸)まで入れていきます。スムーズな方は数分、腸の曲がりが強い方やカメラと腸の相性次第では10分以上かかることもあります。盲腸は小腸と大腸が切り替わるところで、可能な方は小腸にもカメラを入れて観察します。そこからカメラで腸の中をくまなく見ながら少しずつ引き抜いていきます。
検査中に異常が見つかった場合、ポリープであれば色素をかけて形を確認したり、高性能なカメラなら拡大観察といってポリープの表面の血管や模様を細かく見る機能が備わっていますので、それを使用し詳細に観察して悪性度を判定します。切除が必要、切除が可能と判断すればその場でポリープ切除を行います。何らかの腸炎を疑ったり、進行がんなどが見つかった場合には組織を一部つまんで採取して顕微鏡検査に提出します(生検)。盲腸からカメラを引き抜き大腸、直腸、肛門まで腸の中をみて周り、スコープを抜いて検査は終了です。スコープを入れてから引き抜いて検査を終えるまで概ね所要時間は15分〜20分程度です。
大腸カメラは痛い?麻酔や鎮静は?
大腸カメラは痛いんじゃないか、ポリープを取るときに痛いのではないかと不安に思われる方もいると思います。実際のところ、大腸カメラ検査中にお腹が痛くなることはありますが、腸の内側表面には痛みの神経がありませんので、実はポリープ切除で痛みが出ることはありません。検査中の痛みは腸の中をスコープが入っていく過程で腸が伸びて引っ張られてしまうことで起こるのです。しかし、検査を受けた皆さん全員がそのように腸が伸びるわけではありません。では大腸カメラ検査を、痛くない検査にするにはどうすればよいでしょうか。
1つは腸が伸びないようにカメラを入れる技術のある検査医の検査を受けることです。そしてもう一つは麻酔や鎮痛薬を使用して検査を受けることです。無痛大腸内視鏡という言葉もありますが、これは医師の技術力でカバーする、麻酔薬を使用して検査する、という2つの意味で使われています。
検査に不安のある方、以前大腸内視鏡検査を受けて非常に辛かったという方には、鎮静薬を使用して検査を受けるという方法が有効です。これは静脈麻酔薬(点滴から麻酔の鎮静剤を注射します)を使用して、ぼーっとしている間に検査を受ける方法です。麻酔薬の作用で検査中のことを忘れてしまうため、検査中の記憶がないとお話しされる方も多いです。全身麻酔ではないので入院は必要なく、通常の大腸カメラ検査と同様に日帰りで受けることができます。検査後はベッドで少し休み、目が覚めたら帰宅することができます。
アンカークリニック船堀南では、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の医師が検査を担当します。大学病院医師へも技術指導を行ってきた技術のある医師が大腸カメラ検査を行います。予約制にはなりますが鎮静剤を使用して検査を受けることも可能な設備を整えています。
大腸カメラ、前日、当日の食事制限や下剤は?
大腸カメラ検査を受けるためには、腸の中を空っぽにする必要があります。一般に前処置と呼ばれるものですが、それには前日からの食事制限と、検査当日の下剤が含まれます。検査2日前までは特に制限はありません。検査前日の固形物接種は夜20時までとし、それ以降は水分のみ摂取可能です。ただし水分といっても前日は禁酒になりますのでアルコール類は飲まないようにしてください。アルコール以外の水分制限に関しては、胃カメラ検査とは違ってコーヒーなどは飲んでも差し支えありませんが、できるだけ水かお茶、スポーツドリンクなどとしてもらうのがよいとされています。検査前日の食事は『消化がよくすぐ流れてくれる』『食物繊維がない』『脂質が少ない』そういった食べ物にしてもらう必要があります。そうでないと便が残ってしまい、検査の質が落ちてしまいます。せっかく頑張って検査を受けるのですから、前日の食事制限から検査が始まっていると思って、頑張って制限を守ってください。
前日のメニューでわかりやすいものは、うどん、おにぎり、お粥やスープなどです。避けてもらいたい食べ物は、脂の多い肉・きのこ・野菜・豆・海藻など繊維の多い物や、イチゴ・キウイフルーツなど種の多い果物です。食べていいものが何かわからないという方もいるかと思います。当院では検査前日1日分の食事を検査食として、事前診察の際にお渡ししています。検査当日は朝から禁食です。水分は水またはお茶としてください。下剤は通常当日のみの服用ですが、便秘症の方などは前日から下剤を服用してもらうこともありますので、検査を受ける医療機関の指示に従ってください。指示通り下剤(腸管洗浄液)を服用し、便にカスがなくなって透明な液体となれば準備は完了です。検査終了後は観察のみであれば1時間、生検検査を行った場合は検査後2時間の禁飲食となります。検査後に暴飲暴食をしてしまうと、胃や腸に大きく負担がかかってしまい調子を悪くしてしまうため、適度な食事量で刺激物は避け、消化の良いものを摂るようにしましょう。検査前後の常用薬に関しては中止薬がある場合がありますので、必ず検査を受ける医療機関からの指示に従ってください。
大腸カメラ、費用はどのくらいかかる?保険適用される?胃カメラと同時はできる?
大腸カメラ検査の費用がどれくらいかかるのか、という疑問に関しては、検査の目的が人間ドックか保険診療なのかによって異なります。人間ドックは自由診療なので医療機関毎に価格は異なります。大腸カメラ検査自体は保険適応の検査ですが、医師がその患者さんに検査が必要であると判断した場合に保険診療となります。
検査にかかる費用は健康保険の負担割合(自己負担)が1割負担・2割負担・3割負担で異なります。また検査内容によっても大きく費用は変わります。3割負担で計算すると保険適応の場合、大腸内視鏡検査は観察のみであった場合には約7,500円、大腸カメラ+生検+病理組織検査を行った場合約12,000円、大腸カメラ+大腸ポリープ切除+病理組織検査を行った場合約24,000円かかります。保険診療の場合、日本全国どこでも検査料金は一律で違いはありません。
鎮静薬、静脈麻酔薬を使用した際に追加料金がかかることを心配される方もいますが、3割負担でも差額は200円にも満たない程度でそれほど大きく変わりはありません(使用する薬の種類によって多少の差額、変動はあります)。
アンカークリニック船堀南では
アンカークリニック船堀南では、日本消化器内視鏡学会専門医、指導医の消化器内科医師が大腸カメラ検査を担当します。がん拠点病院などで多くの治療に携わり、大学病院医師へも技術指導を行なってきた技術、経験のある医師が大腸カメラ検査を行います。患者さんにできるだけ負担をかけない検査をモットーに診断や治療を行います。内視鏡検査機器は2024年6月に富士フィルムメディカル社より発売された次世代型の内視鏡装置(ELUXEO 8000)を導入しています。予約制ですが静脈麻酔(鎮静下内視鏡)で検査、胃カメラと大腸カメラの同日・同時検査にも対応しています。検査で異常、病変が見つかった際に当院で対応可能なものについてはそのまま当院で治療やその後の診療を行います。専門病院での治療が必要と判断した場合には、連携する都内、近隣の高次医療機関へ適切にご紹介いたします。
おわりに
大腸内視鏡検査をご希望の方、自分の症状は大腸カメラ検査を受けた方がよいものなのかわからない、検査を受けた方がいいと言われたが不安でこれまで受けてこなかった、など受診に迷っている方や疑問のある方は一度当院にお問い合わせ下さい。