この記事を読むとわかること
アンカークリニックの消化器内科専門医、内視鏡指導医が胃ポリープについての疑問が解決できるように、解説しています。
胃ポリープとは?
健康診断の胃バリウム検査や胃カメラ検査で、胃にポリープを指摘された人もいるのではないでしょうか。胃ポリープとは胃の内側に出っ張った病変という意味で、より詳しくいうと、胃の粘膜上皮から出ている腫瘍ではない病変を胃ポリープと呼び、良性の病変に対して使われる用語です。健康診断や人間ドックの内視鏡検査のデータを集計した全国調査の報告では、胃ポリープの発見頻度は概ね10~20%と示されています。ですので決してめずらしいものではありません。
胃ポリープの種類と原因について〜良性?悪性?がんになる可能性がある?〜

胃ポリープに症状はある?
胃ポリープのみで症状が出ることはほとんどありません。多くの人がバリウム検査や胃カメラ検査で偶然みつかります。なお、身体を輪切りにしてみるCT検査ではかなり大きな病変でなければ写りませんし、お腹のレントゲン写真でも写ることはありません。胃ポリープの中でも過形成性ポリープは、血液がサラサラになるような薬を服用していたり、人工透析を受けている方では稀に出血することがあります。その場合には黒色便や、貧血の症状(ふらつきや軽労作での息切れなど)が出ることがあります。
胃ポリープは放っておいてもいいの?
胃底腺ポリープ、過形成性ポリープはともに良性ですので、それだけなら治療を行う必要はありません。
胃底腺ポリープは通常放置しても問題ありません。多発性の場合、家族性大腸腺腫症を疑う場合には大腸のチェックが必要ですので、大腸カメラ検査を受ける必要があります。家族性大腸腺腫症では胃底腺ポリープの他に胃腺腫という切除が必要な腫瘍が発生していることがあります。そのため定期的な胃カメラ検査も必要です。
過形成性ポリープはピロリ菌が関係していますので、まずピロリ菌の感染があるかどうかを確認し、感染があれば除菌治療を行います。過形成性ポリープではほとんどの場合、同時に慢性胃炎も指摘されます。ピロリ菌による慢性胃炎(萎縮性胃炎)は胃癌の発生母地です。ポリープの経過観察だけでなく、萎縮性胃炎がある人に胃癌ができていないかという意味においても定期的に胃カメラ検査を受ける必要があります。
また、先述のように過形成性ポリープは癌化する可能性があります。だんたん大きくなっているもの、出血しているものなどは胃カメラ治療で切除して、良性か悪性かを治療とともに診断する場合があります。
胃癌の9割はピロリ菌感染に関連して発生しますが、昨今『ピロリ陰性胃癌』という、ピロリ菌に感染していない胃にできる癌がみつかるようになってきました。
さて、ピロリ菌に感染していない胃にできるポリープは胃底腺ポリープでした。つまり、胃カメラ検査をしたところ、胃底腺ポリープと思いきや胃癌が見つかることがあるのです。

まとめ
胃ポリープはその診断が重要です。治療の必要性、経過観察の方法や頻度が病変によって異なりますので、一度は胃カメラ検査を受けることをおすすめします。江戸川区のアンカークリニック船堀南では消化器内視鏡専門医、指導医が診療しています。内視鏡検査では、過形成性ポリープの癌化でも説明した拡大内視鏡検査を行う機能を備えた次世代型のスコープも使用しています、胃ポリープを健康診断で指摘されたことがある方、バリウム検査のみしか受けていない方の他、疑問があるという方でも一度ご相談下さい。

