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最終更新日 2024.5.7

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消化器病専門医が解説する胆石の病気

 

この記事を読むとわかること

健康診断で胆石を指摘されている方は案外たくさんいます。食の欧米化にともない、日本の胆石保有者は年々増加しています。「胆石でひっかかったけど、心配ないと言われた」という方、それは正しくもありますが、危険が全くないわけではありません。以前よりもさらに身近になった胆石について、この記事では胆石でおこる病気や気をつけることなどを、できるだけわかりやすくまとめて解説しています。

胆石とは?その原因と種類

肝臓は胆汁という消化液を作っていますが、その胆汁の成分が固まってできる、石のような塊のことを胆石とよびます。肝臓の細胞で作られた胆汁は、徐々に集められて胆管という管(くだ)の中を流れていき、十二指腸というところで腸の中に出てきます。肝臓から十二指腸に至る途中には枝分かれがあり、そこには胆のうという袋がついています。

胆のうには胆汁を貯めておく働きと、その水分を抜いて胆汁を濃くする働きがあります。胆のう内の胆汁は、食べ物が十二指腸にやってくるとその刺激で腸の中に分泌されます。そして食べ物と混ざり、細かく分解します(これを消化といいます)。
胆汁の成分が胆のうの中で固まってできる胆石を「胆のう結石」といいます。一方、胆管の中にも胆石ができることがあり、こちらは「胆管結石」と呼ばれます。なお、胆のうでできた結石が胆のうから出て胆管で詰まった場合は「胆のう結石」から「胆管結石」と名前がかわります。名前は「どこでできたか」ではなく、「どこにあるのか」で決まります。結石のある場所で治療が違うからです。



胆石の診断と必要な検査は?

胆石の診断のためには検査が必要です。どの検査が必要かは、患者さんの状態によって異なります。以下は各検査の概要です。

腹部超音波検査(エコー検査)

クリニックでも受けられる検査です。結石の成分によっては大きくてもCTに映らないものもあるのですが、エコー検査であればそういった結石も診断できるので、非常に有用な検査です。リアルタイムに行えるのも強みで、症状出現時に検査をしながら診察できるため、胆のう炎や胆のう結石には特に有効です。
欠点は、検査をする人(医者や検査技師)の技量で映り方が変わることです。また検査を受ける患者さんの身体によってもエコーの映り方が変わります。例えば痩せている人は映りが良いですが、皮下脂肪が多い方やお腹にガスが多い方は病気があっても映し出せない場合があります。機器の性能でも映り方に差が出ます。なお、胆管炎や胆管結石はエコーが届かないところに結石がある場合も多く、診断が難しいことも少なくありません。

CT検査

X線を使って身体の輪切り写真や縦切り写真を撮影する画像検査です。病気の全体像をみるのに適した検査ですが、エコー検査で診断がつかない場合にCTで診断がつくことも多いです。検査時間は数分です。欠点として、胆石の中にはCT検査では映らないものがあること、クリニック規模では設置している施設が少なく、検査センターや病院規模の医療機関でなければ撮影できない点です。また、X線を使った検査なので被爆があります。

MRI検査(磁気共鳴胆管膵管撮像法)

CT同様、小さな医療機関にはほとんど設置されておらず、検査センターや病院に行かないとできない検査です。磁力を使って身体の輪切り写真や縦切り写真を撮影します。この記事に関するところでは、MRI検査で得た画像を胆管用にしたMRCP(磁気共鳴胆管膵管撮像法)という検査が行われます。MRCPではCTで映らない結石も検出することが可能で、特に胆管の全体像を調べるのに適した画像を得ることができます。欠点は、小さな結石は映らないことがあること、検査時間が数十分と時間がかかること、緊急では撮影できない病院が多いことなどがあります。

超音波内視鏡検査(EUS)

胃カメラの先端に超音波検査の装置がついた特殊な内視鏡検査で、胆管や膵臓を診る専用器です。胆管や膵臓が胃のすぐ近くにあるので、お腹の中から超音波検査をすることで、普通の腹部超音波検査では診ることができない部位の胆管や膵臓を診ることができます。現在最も細かく胆管や膵臓を診ることができる検査ですが、一般的な胃カメラとは異なる検査機器であり、また専門とする医師がいる病院でないと受けられない検査です。



胆石が引き起こす病気とその症状は?

胆石はできただけでは症状はありません。どこかに詰まると症状が出ます。

胆石発作

胆のう結石の場合は胆のうの出口につまると強い痛みが出ます。これを「胆石発作」、「胆石疝痛」といいます。胆のうは、右の肋骨の下のあたり(右季肋部)にありますので、そこがとても痛くなります。背中の痛み、吐き気、嘔吐を伴う方もいます。胆石発作が起こるのは、脂質やタンパク質を含む食物を摂った後というタイミングが最も多いのですが、食事と関連しない時間帯で痛くなることもあります。

胆のう炎

胆石が胆のうの出口に詰まり、それがきっかけで胆のうに炎症が起きたものが「胆のう炎」です。多くの場合細菌感染が炎症の原因になっており、震えを伴う強い寒気(悪寒戦慄)とともに熱が出ます。発熱+右季肋部痛という症状で受診すると、第一に考える病気です。
胆のうの中に細菌が増え、膿がたまり、さらにその細菌が容易に血液内に入り込み全身を巡ります。重症感染症に至ることも少なくありません。また、炎症がひどくなると胆のうの壁が脆くなり、胆のうに穴があくことがあります(胆のう穿孔)。穴から胆汁や膿がお腹の中に広がってしまうと、汎発性腹膜炎という命の危険がある重篤な病気に至ります。

胆管結石

胆管結石は、胆管の中に浮いているだけでは症状は出ません。結石が管(くだ)の中に詰まると症状が出ます。胆管は十二指腸につながっており、胆汁の出口は十二指腸乳頭と名前がついています。しかしその出口は小さく、出口よりも結石が大きいと通過できずに石が詰まります。はまり込んでしまうと(結石嵌頓)強い腹痛を起こし、吐き気が出たり嘔吐する方もいます。
また、結石がつまると胆汁の流れがせき止められてしまうため、胆汁の逆流がおこり、血液の中に入っていきます。胆汁は黄色なので、血液に乗って全身を巡ると眼や皮膚が黄色くなり、尿が異様に濃くなるなどの症状が出ます。これを「黄疸」といいます。特に胆管が詰まっておこる黄疸のことを「閉塞性黄疸」と呼びます。胆汁は便の色の素にもなっていますので、胆汁が出なくなると便の色が薄くなり、ひどいと便の色が灰色になります。

胆管炎

前述のように胆管は十二指腸と繋がっています。十二指腸には腸内細菌がいるので胆管内には容易に細菌が侵入します。通常であれば、胆汁の流れは十二指腸への一方通行なため、胆管に入りこんだ細菌はすぐに十二指腸に排出されます。しかし胆管結石のような胆汁の流れを阻害するものがあると、入りこんだ細菌が排出されず、胆管内で菌が繁殖します。繁殖した胆汁内の細菌は血液に入り込んで全身を巡ります。これを「胆管炎」といいます。感染症ですので、胆管結石の「腹痛」、「黄疸」の他に「発熱」がおこります。発熱は胆のう炎と同様に震えを伴う寒気(悪寒戦慄)があります。胆管炎は命に関わる重症感染症に至りやすい恐い病気です。

急性膵炎

胆管結石の項でも登場した、十二指腸乳頭部という消化液の出口からは、胆汁とともに膵液という消化液も出てきます。膵液とは膵臓が作っている消化液で、膵臓の中心を貫く膵管という管(くだ)を伝って十二指腸に分泌されます。胆管結石が十二指腸乳頭部に詰まると、同じ出口を使っている膵液も出なくなる場合があり、結果膵液が逆流してしまいます。膵液は脂質やタンパク質を分解する消化酵素を含んでいますが、それが膵臓自身を消化して溶かしてしまいます。これを急性膵炎といいます。膵臓はお腹の中心部にありますので、膵炎になると強い「腹痛」「背中の痛み」が出ます。お腹の中で炎症が広がり、それが腸へ及ぶと腸が動かなくなり、食べた物や胃液・腸液なども滞ってしまうため「吐き気・嘔吐」がみられます。重症の急性膵炎は今だに致死率が非常に高い病気で、2016年に行われた日本の全国調査でも5~10人に1人が亡くなっています。

引用:Masamune A. Japan Pancreas Society. Clinical practice of acute pancreatitis in Japan: An analysis of nationwide epidemiological survey in 2016. Pancreatology 2020; 20:629-636.



胆石の治療法:溶かす?手術?何科?

胆石の治療は、結石がどこにあるかで大きく異なります。

胆のう結石

「胆石発作」を起こした場合、その後も発作を繰り返す可能性や、後に胆のう炎になる可能性があるため胆のうを結石ごと取ってしまう、胆のう摘出術がすすめられます。「胆のう炎」も胆のう摘出術が基本となります。現在はほとんどの手術がお腹に数か所の小さな穴を開けて行う腹腔鏡手術で行われています。穴から細長いカメラ、手術器具を入れて手術をするため傷が小さく回復も早い方法です。
胆のう炎はその病状によって、手術以外の治療を選択する場合もあります。胆のうに針を刺して膿を吸い出したり、胆のうにチューブを入れて持続的に膿を体外に出すドレナージ治療が挙げられます。他には膿を腸の中に出す内瘻という方法もあり、これは内視鏡を使用したドレナージ治療ですが、手術や針を刺す治療が何らかの理由でできない場合などに行われます。どの治療方法を提示するかは、患者さんの病状、治療施設の人員や設備などを考えたうえで、内科、外科の医師間でも相談して決めていきます。

胆石発作を起こしていない無症状の胆のう結石に治療の必要はありません。胆石発作や胆のう炎を起こした胆のう結石の基本的な治療は手術(外科的治療)であることをお話しましたが、一方で胆のう結石には内科的治療という手術以外の方法もあります。飲み薬で結石を溶かす治療(結石溶解療法)です。しかし結石溶解療法は、小さくてCTに映らないようなコレステロール性結石であるという条件があり、また結石が溶けるまでに年単位の時間がかかり、再発する可能性があります。以上の点から、近年ではあまり選択されません。

胆管結石

胆のう結石とは異なり、胆管結石は無症状でも治療が必要です。基本的に胆管結石は胆管炎になるリスクがあるからです。治療を行わずに自然排出が期待できるのは、非常に細かい数mmの結石の破片しかない場合のみです。その他ほとんどの場合において、無症状の胆管結石、結石による胆管炎は内視鏡で治療をします。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)という検査とともに行う、内視鏡的結石除去術という治療です。ERCPでは通常の胃カメラではなく、胆管治療のための専用内視鏡を使って、消化液の出口から器具を入れて結石を割ったり採ったりします。この治療は無症状でも入院が必要です。

胆石発作であれば内科、消化器内科などのクリニックでも一時的な治療を受けることができます。発作後の根本的な治療については、胆のうを摘出する手術をまず検討する必要がありますので、消化器外科のある病院で診療を受けることになります。その他の胆管結石、胆管炎、胆のう炎、膵炎などの治療は入院が必要な場合がほとんどです。その専門科である消化器内科、消化器外科で治療します。



胆石の治療にかかる入院期間はどのくらい?

胆のう結石

無症状の胆のう結石の治療、腹腔鏡下胆のう摘出術は、手術の前日に入院し、術後3日程度での退院、すなわち約5日の入院が一般的です。手術に伴う偶発症などがあると延長する場合もあります。

胆管結石

無症状の胆管結石の治療は、内視鏡治療(ERCP)で行います。内視鏡治療が1回で終了し偶発症などがなければ、術後2日程度で退院になります。しかし、結石の数や大きさ、胆管のどこに結石があるかなどによって、内視鏡治療が複数回必要になることがあります。その場合は入院日数が延長します。

胆のう炎、胆管炎

胆のう炎では前述のように手術やドレナージ治療、胆管炎も内視鏡治療をおこないますが、結石治療だけでなく、細菌感染症をおこしているためその治療も必要です。週単位の入院治療が必要となります。重症の場合は月単位の入院が必要になる事もめずらしくありません。



胆石と食事の関係:食事で気をつけるべきポイント

胆石に影響する因子としては,高カロリー食、動物性脂肪の摂りすぎ、脂質異常症(特に中性脂肪)、長期間の経口避妊薬の使用、極端な体重減少・ダイエットなどがいわれています。また、食事は三食偏りなく摂ることも重要です。そのように食事を摂ると、規則的に胆のうが収縮して胆汁が分泌されるので、胆石ができにくいといわれています。
胆石発作は脂質の多い食事を摂ったときに起こることが多いです。脂質摂取をきっかけに胆汁が分泌されて胆石が動き、運悪くはまり込んでしまうからです。胆石発作を起こしたことがある方については脂肪分を含む食事を控えることが大切です。

引用:Stampfer MJ. Risk of symptomatic gallstones in women with severe obesity. Am J Clin Nutr 1992; 55: 652-658



まとめ

胆石は健康診断などで指摘されても症状がなければ心配はありません。しかし症状が出てしまうと一変、すぐに医療機関にかかって治療を受ける必要があります。事前にどういったことに注意する必要があるのかを知っていることで、早めに対処することができ、病気の悪化を防ぐことに繋がります。アンカークリニック船堀南では、超音波検査を受けることができます。CTやMRI、MRCPが必要な場合は江戸川区船堀近隣および都内の検査センターと連携しており、当院から予約をお取りします。また検査結果は当院に返送されますので、当院医師がわかりやすくご説明します。治療やさらなる検査が必要な場合には連携している専門病院に迅速に紹介しています。胆石についてわからないことがある、不安がある、検査結果の内容がわからないなどあれば、些細なことでも気軽にご相談ください。



記事監修者

アンカークリニック船堀南院長

野坂 崇仁 医師

東京都の三次救急病院やがん拠点病院で救急から慢性疾患、指定難病、がんに至るまで全ての消化器疾患の診断、治療からフォローアップまで診療に従事し2024年8月より現職。

<略歴>
2012年 東邦大学医学部卒
2012年 厚生中央病院 初期研修
2014年 都立墨東病院 消化器内科後期研修
2017年 がん研有明病院 出向
2018〜2023年 都立墨東病院 消化器内科
<資格など>
日本内科学会認定医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本肝臓学会肝臓専門医
日本消化器内視鏡学会関東支部評議員
難病指定医

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