はじめに
このnote記事は「フローチャート整形外科診断」を書き散らかしたふじたつが、外来で経験した典型的な症例を用いて、恐れ多くも家庭医、総合診療医、救急医のためにトレーニング形式でそのノウハウをシェアする場です。読者の方々と一緒に研鑽を積めたら嬉しいです。
アンカークリニック船堀では短期〜長期の整形外科外来研修を受け入れしています。興味ある医師の方はご一報ください!
◆ご覧いただきたい方
・整形外科診療に携わるプライマリケア医
・救急外来でWalk in症例を診る初期研修医
・卒後3年目の駆け出し整形外科医
※3次救急というよりは地域の1次2次救急外来やER、クリニックなどを想定しています
※上記以外の専門医の方も「Advanced」の項目は是非見てみてください
◆解決する課題感
・「肩痛や腰痛の患者さんを診る時にどのように対応してよいかわからない」
・「膝痛を訴える患者さんで見逃しちゃいけない疾患はなんだろう」
などなど
このような課題を解決するために、冒頭紹介した書籍「フローチャート整形外科診断」に加え、本記事で追加の症例解説をしていきます!
なので、熟練の整形外科医にとっては当たり前の内容かと思いますが、
ただただ、わかりやすさを追求し、たとえ初めて整形外科疾患を診る医師でも「できる」内容として記載するように努めています!
ぜひこれから一緒に学べたら嬉しいです!
より短時間で確認したい方はこちら!
以下会話形式での解説です!
◆登場人物
[症例25] 34F 右手関節痛
2週間前から右手首の痛みを自覚していた。痛みが強いため日中整形外科外来を受診した。
R:なんですかね。転んだりしたんでしょうか?
O:外傷かどうかはとても大切なことだね。フローに沿ってやっていくんだけど、外傷かどうか、傷があるか。そんでもって疼痛部位に注目してみるとフローのどの辺にたどりつくか予想がつくよ。
R:了解です。外傷や傷はなかったです。
O:ok、次はredflagsの確認セクションだね。
R:はい。いわゆるKanavel4徴候にあてはまるような所見はありませんでした。
O:いいね。手関節腫れていた?
R:いえ、そういった所見はなく、しびれもなかったです。手首から前腕にひびくような痛みって言ってました。
O:okこれらが鑑別だね。最後に疼痛部位で絞り込みかな。どう?
R:ここです。
O:ということはCM関節症やドケルバン、インターセクション症候群が鑑別かな。
R:はい。
O:病歴はどう?
R:30台ですね。特にきっかけなく手首の橈側がいたくなったって言ってます。
O:なるほど。それだけだと絞り込めないね。仕事はなに?
R:デスクワークですけど育休中で4ヶ月の子供がいるって言ってました。
O:おーそれだね。
R:え?
O:まぁいいよ。身体所見は?
R:せんせー、よくないです笑。どゆことですか?
O:Finkelstein testが陽性ってことでしょ?
R:はい〜。そうなんですが!!
O:出産後の手首痛ではドケルバン、つまり手関節腱鞘炎を最も疑わないといけないのよ。
R:そうなんですね。そういえば国家試験でやったような。。。ところでこのFinkelstein testのやり方があってるか確かめたいのと、CM関節症のところにあるGrindertestがわからなかったのですが、教えてください。
O:やってみて。
R:どうすか?
O:いいんじゃないか。概ねよし。文献ではFinkelstein testにグレードつけてるものもあるけど陽性か陰性かなので臨床では痛くなる理屈だけわかってればいいと思うよ。
R:この患者さんだと前腕部には痛みはなくて、Grinder test陰性。CM関節の圧痛もなかったので、ドケルバンに絞り込まれますね。
O:そうだね。確認のためエコーあててみようか。
R:了解です。
O:どう?
R:腱鞘肥厚してますね。
O:だね。エコーでlowは水腫のこともあるんだけど、今回は腱鞘肥厚だね。
R:なんでわかるんですか?
O:エコーガイド注射すると、このlowの部分は硬くて薬液が入っていかないんだよ。つまり水腫じゃないってこと。
R:な、なるほど。
O:最後は治療だね。NSAIDsで改善しないという文献もあるけど、アイシングストレッチをメインに内服や外用薬も出すことが多いかな。
R:あとは注射ですよね。
O:そうだね。注射は腱がステロイドの影響で切れることがあるから容量には注意して。僕は注射しても1,2回まで。1回の容量もめちゃくちゃ少なくしてるよ。ケナコルト50mg/5mlを1%キシロカイン5mlで合計10mlにしたものを0.5mlとか。
R:そんな少なくて効くんですか?
O:エコーガイドだからね。
R:ストレッチはどうするんですか?
O:さっきのFinkelstein testみたいに伸筋腱を伸ばしてあげるイメージかな。
▶︎Advanced もし自分が外来で診るなら〜ドケルバン病〜
・保存治療が基本で、(内服薬)、ストレッチ、局所注射が報告されている。改善が見込めない場合は手術(腱鞘切開術)という選択肢もある。
アンカークリニック船堀では短期〜長期の整形外科外来研修を受け入れしています。興味ある医師の方はご一報ください!
問い合わせ先
アンカークリニック船堀
〒134-0091 東京都江戸川区船堀4-3-6 メゾンドサントル船堀101
当院の方針
アンカークリニック船堀では、皆様のお話から胸痛の原因がなんであるか、問診で絞り込みます。また必要時には血液検査、心電図検査、レントゲン、心臓超音波検査を行います。
これらによって胸が痛い原因を突き止め、適切な治療を進めてまいります。場合によっては専門施設へ紹介いたします。
胸が痛い症状がある方は気軽にご相談ください。