はじめに
このnote記事は「フローチャート整形外科診断」を書き散らかしたふじたつが、外来で経験した典型的な症例を用いて、恐れ多くも家庭医、総合診療医、救急医のためにトレーニング形式でそのノウハウをシェアする場です。読者の方々と一緒に研鑽を積めたら嬉しいです。
アンカークリニック船堀では短期〜長期の整形外科外来研修を受け入れしています。興味ある医師の方はご一報ください!
◆ご覧いただきたい方
・整形外科診療に携わるプライマリケア医
・救急外来でWalk in症例を診る初期研修医
・卒後3年目の駆け出し整形外科医
※3次救急というよりは地域の1次2次救急外来やER、クリニックなどを想定しています
※上記以外の専門医の方も「Advanced」の項目は是非見てみてください
◆解決する課題感
・「肩痛や腰痛の患者さんを診る時にどのように対応してよいかわからない」
・「膝痛を訴える患者さんで見逃しちゃいけない疾患はなんだろう」
などなど
このような課題を解決するために、冒頭紹介した書籍「フローチャート整形外科診断」に加え、本記事で追加の症例解説をしていきます!
なので、熟練の整形外科医にとっては当たり前の内容かと思いますが、
ただただ、わかりやすさを追求し、たとえ初めて整形外科疾患を診る医師でも「できる」内容として記載するように努めています!
ぜひこれから一緒に学べたら嬉しいです!
より短時間で確認したい方はこちら!
以下会話形式での解説です!
◆登場人物
[症例26] 46M 右足の力が入りにくい
2時間前にバドミントンをしていて、突然右足に力が入りにくくなり夜間救急外来を受診した。
R:先生!突然の脱力、脳血管障害かと思ってバイタル含め身体診察したんですが、爪先立ちができなくて。。。
O:そういうことだよね。
R:え?
O:まぁ、フロー通りやってみよっか。
R:はい。。最初は外傷かどうかですね。これってどっちになるんですか?問診票だけだと外傷なしってことですか?
O:そうだね。スポーツ中だからスポーツ外傷として扱うことが多いかな。
R:なるほど。
R:最初に4つ分岐がありますね。
O:そうだね。足・足関節ではこの最初の3つの頻度が高いからこの分岐になっているんだ。早速足首を捻ったとか、ものを落としたとか、今回だと他の選手に踏まれた?とかかな。そういった病歴あった?
R:ひねったぶつけたはなかったんですが、踵に何かがあたったと思って振り返ったけど何も起きてなくてその後右足のふんばりが効かなくなったって言ってました。
O:なるほど。そしたらここだね。
R:え?そんな簡単に?
O:スナップはよくないとはいうけど、そういう点で言えばもう先生が脳血管障害疑って身体診察してくれてるしね。爪先立ちできないって言ってたけどもう一度アキレス腱の診察をしないとね。
R:具体的にはどんなことをチェックするのでしょうか。
O:Thompson testとアキレス腱の陥凹だね。
O:特に陥凹の位置が大切で、アキレス腱の断裂なのか、筋腱移行部での断裂なのかが手術可否を考える上でとても大切なんだ。
R:そうなんですね。何が違うんですか?
O:基本的な考え方として、「腱は縫えるけど筋肉は縫えない」ということが大事かな。より近位側、つまり筋腱移行部での断裂であればあるほど縫合しづらくなる、または縫えなくなってしまうんだ。とまぁ、検査を通り越して治療の話になっていまったので診断に戻ろう。
R:はい。Thompson test陽性でアキレス腱で踵骨から4cm程度のところに陥凹がありました。
O:ok。そうしたら次はエコーだね。
R:はい。
O:がっつり断裂だね。ほぼ完全断裂といっていいかな。エコーだと精度の問題があって完全断裂かどうかまでは判断しづらいけどこの画像だと大半が断裂してるといえるかな。
R:なるほど。初期は足関節底屈でのギプスシーネ固定+免荷でいいんですよね?
O:それでok
▶︎Advanced もし自分が外来で診るなら〜アキレス腱断裂〜
・大きく手術治療と保存治療がある。比較のポイントは再断裂率(手術3.3%:保存12.4%)と手術リスク(感染など)である。患者の希望に合わせて治療選択を行う。私見だが、スポーツアクティビティの高い方、足関節最大底屈してもエコーで断端同士の接触が見込めない方には手術治療を勧めている。
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問い合わせ先
アンカークリニック船堀
〒134-0091 東京都江戸川区船堀4-3-6 メゾンドサントル船堀101
当院の方針
アンカークリニック船堀では、皆様のお話から胸痛の原因がなんであるか、問診で絞り込みます。また必要時には血液検査、心電図検査、レントゲン、心臓超音波検査を行います。
これらによって胸が痛い原因を突き止め、適切な治療を進めてまいります。場合によっては専門施設へ紹介いたします。
胸が痛い症状がある方は気軽にご相談ください。