不整脈について船堀の内科医が解説します
不整脈と聞くと「心臓の危ない病気」を想像する方が多いでしょう。
アンカークリニック船堀でも動悸や不整脈を訴えて受診される方が少なくありません。
しかし、不整脈と一言でいっても、実はたくさんの種類があります。内科や循環器内科の医師にとって、「不整脈がある」といわれただけでは何の病気か分かりません。
処方されている内服薬の内容や症状から「何の不整脈なのか」推測することもしばしばあります。 病的意義のあるものからそうでないものまで、不整脈の種類は様々です。
ここではもう一歩踏み込んで、一般の方でもわかるように不整脈についてアンカークリニック船堀の宮﨑紀樹が説明します。
不整脈とは?
心臓は交感神経や副交感神経といった、いわゆる自律神経により活動が調整されています。
興奮状態にあるときや運動しているときなどは脈が速くなり、逆に落ち着いているときに脈が遅くなるのは自律神経の影響です。
それ以外では呼吸によっても心拍数は周期的に変化します。これらは通常の反応であり、病的意義は乏しいものです。
ペースメーカーというと機械のイメージが強いと思いますが、そもそも人間は誰しも心臓にペースメーカーをもっています。
「洞結節」という天然のペースメーカーがあり、洞結節が規則正しく興奮し、それが刺激伝導系という経路を伝って心臓全体が順に興奮していく仕組みです。
不整脈というのは、このように規律が取れているはずの心拍のリズムが、乱れてしまうものを指します。
洞結節が機能しない、経路のどこかが切れている、心臓の一部が勝手に興奮している、特殊な経路が存在し、そこでグルグル信号が回っている、など原因は様々あります。
これらはいずれも不整脈と呼ばれるものですが、原因も症状も心電図も異なります。
不整脈の症状とは?
不整脈の症状で最も多いのは当然かもしれませんが動悸です。
動悸と共に息苦しさや冷や汗が出るなどの症状があれば要注意です。すぐさま病院を受診しましょう。
ここではどのような動悸かを中心に、ザックリと4つに分類してみます。
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1つ目:脈が飛ぶ
動悸を起こす不整脈の中で最も一般的で、多くは「期外収縮」と呼ばれる不整脈です。
これは期待されるタイミングよりも前に収縮が起こるもので、「脈が飛ぶ」と感じる方がいます。
一方で、期外収縮が起きてもそれに気づかない方が多いのも事実です。
自覚症状なく、健診で初めて指摘される方が多い不整脈の代表です。
その場合健診結果には「上室性期外収縮」「心室性期外収縮」などと書かれていることが多いです。
診断のためには心電図やホルター心電図(24時間装着して波形を記録する心電図)で波形を捉える必要があります。
病的意義が乏しいものが多いのでそこまで心配する必要はありませんが、実際の波形を見ないと厳密にはいえません。
2つ目:規則正しく脈が速い
脈が速いことを頻脈といいます。1分間に打つ脈が100回以上であれば頻脈とすることが一般的です。
全力疾走した後などは規則正しい頻脈となりますが、これは病的ではなく正常な反応です。
正常ではない規則正しい頻脈性不整脈の多くは発作性上室性頻拍と呼ばれるものです。
正常な脈だったものが突然規則正しい頻脈となります。
◯時◯分◯秒というレベルで突然なので、多くの患者さんが「突然動悸が始まった」、と訴えることが多いです。
ちなみに停止するのも突然なので、アンカークリニック船堀を受診した際にはすでに不整脈が治まっているなんてこともよくあります。
3つ目:規則正しく脈が遅い
脈が遅いことを徐脈といいます。1分間に打つ脈が50回以下であれば徐脈とすることが一般的です。
脈拍は個人差が大きいもので、例えばアスリートの中には元々脈が遅い人がいます。
もちろんそれだけで病的であるとは言えません。
徐脈の中には洞不全症候群や房室ブロックといった、治療介入が必要な不整脈が存在しますので注意が必要です。
洞不全症候群は本来持っているペースメーカーである洞結節に不具合があり、房室ブロックは刺激伝導系と呼ばれる経路に不具合がある不整脈です。
これらの不整脈の場合、息切れをはじめとする心不全と呼ばれる症状や気を失ったりするなどの症状があれば人工ペースメーカーの植え込み手術の対象となりますので、循環器内科を受診する必要があります。
4つ目:脈が不規則
多くは心房細動と呼ばれる不整脈です。脈は速いことが多いですが、無症状で見つかる人ではそんなに速くないこともあります。
心房細動は放置しておくと様々なよくないことが起こるので、早期の受診と治療介入が望ましい不整脈です。
心房細動は心臓の中に血栓を形成することがあり、それがふとした拍子に血流で運ばれ、重篤な脳梗塞を引き起こすことにつながります。
また、心房細動はそれ自体を放置しておくと息切れなどの症状(心不全症状)が出現します。
心臓もへばってしまい、そうなってしまうと治療を開始しても元通りにはなりません。
しかし適切な治療を行うことでこれらを予防することが可能です。
その他症状としてフワッとするようなめまい、息切れ・息苦しさ・呼吸困難、意識が遠くなる、失神、立ちくらみ、疲労感などがあります。
これらは全身の循環が保たれていないサインかもしれないので、速やかに医療機関を受診しましょう。
不整脈の原因
不整脈の種類にもよりますが、心筋梗塞や〇〇心筋症といった心臓の病気がある、血液中の電解質と呼ばれるイオンのバランスが崩れている、甲状腺などのホルモン異常がある、など多岐にわたります。
生まれつき心臓の中に異常な回路を持っており、ふとしたきっかけでその回路が活性化して不整脈が起こることもあります。
また喫煙、アルコール、ストレス、カフェインの過剰摂取などの生活習慣によって引き起こされることもありますが、原因がわからないことが多いです。
不整脈の予防
一部の不整脈は寝不足、カフェイン、ストレスなどが原因となりえますので、これらのうち減らせるものがあるのなら減らす努力をしましょう。
ただしほとんどの不整脈は原因不明か、仮に原因があっても解除不能なものがほとんどです。予防といっても限界があるのが実際のところです。
不整脈のセルフケア
不整脈の指摘をされた、あるいは不整脈の自覚があってアンカークリニック船堀を受診される方の中には、受診時に症状が消失していることがしばしばあります。
診断の中心は心電図になるのですが、症状がない時に検査をしても正常と変わらないことが多いです。
そういった時は不整脈が出現している(と感じている)ときの脈の観察が重要です。
医療機関を受診する際にその不整脈が規則正しかったか、速かったか遅かったか、その他の症状はあったかを伝えると診断の助けとなることがあります。
難しいと思うかもしれませんが、手首などで脈を測ってみてください。血圧計でも脈拍数が表示されるものが多いので、利用しましょう。
来院時に症状がなくとも、頻度によってはホルター心電図(24時間装着し波形を観察できる心電図)で捉えることが可能です。
また、最近ではスマートウォッチなどに心電計機能を持っているものもあり、これらが診断に役立つことがあります。
不整脈の治療法
これも不整脈の種類によります。多くの期外収縮と呼ばれるものは経過観察が可能です。症状によっては薬物治療を行うこともあります。
徐脈になる不整脈はペースメーカーの植え込みを要することがありますが、徐脈の原因となっているものがある場合はそれを取り除いて改善するか経過をみることもあります。
脈が不規則なものや規則的で速いものは薬物治療を行ったり、場合によってはカテーテルアブレーションという手術の適応となる場合があります。
アンカークリニック船堀の治療方針
アンカークリニック船堀では、まず皆様のお話から不整脈が何であるかできる限り絞り込みます。
必要時には血液検査、心電図検査、心臓超音波検査を行います。問診、診察、検査で不整脈の原因を突き止め、適切な治療を進めてまいります。
当院のホルター心電図(24時間装着型)は小型で防水機能を有しているので、装着したままお風呂も入れます。台数に限りがあり予約が必要なので、お気軽にご相談ください。
船堀での不整脈診察は、アンカークリニック船堀へ
ここまで読んでいただきありがとうございました。不整脈は目に見えないもので、診断が難しい領域です。
放っておいてもいいかご自身で判断するのが難しいところもあります。
もし動悸やその他症状でお困りでしたら、お気軽にアンカークリニック船堀に相談にきてください。