息切れについて船堀の内科医が解説します
電車に乗り遅れそうなとき、ホームまで全速力で走ったら息が切れます(駆け込み乗車はおやめください)。
同時に動悸も感じることでしょう。しかしこれが果たして病気かといわれれば、もちろんそんなことはありません。
誰だって激しい運動をすれば息切れもするし動悸もします。
このように息切れは状況次第で必ずしも病的ではありませんが、まれに重篤な病気のサインが隠れていることがあります。
・大した運動でないのに息が切れる
・平地を歩くだけで息切れする
・休み休みでないと階段が登れない
などの息切れ症状には、心臓や肺などの病気が隠れていることもあります。
ここでは息切れが起こる原因と、病院を受診した方がよい症状について、アンカークリニック船堀の宮﨑紀樹が説明します。
息切れについて
運動など身体活動をすると体は安静時よりも多くの酸素を必要となり、息切れが発生します。
我々の体内において、酸素を運搬する役割をしているのは血液中のヘモグロビンですので、単純に多くの血液を必要とすることになります。
ただ、運び屋がいくら多くても、酸素自体が少ないのでは当然酸素は隅々まで届きません。酸素を取り入れるのは呼吸ですので、呼吸も頑張る必要があります。
循環血液量を担っているのは心臓、呼吸を担っているのは肺ですから、体の酸素が足りなくなると脈拍が増え、呼吸が速く深くなります。
動悸、息切れをするのはこのためです。
従って心臓や肺に異常があると満足に酸素を届けることができなくなります。
また、ヘモグロビンが減ってしまう貧血では運び屋が足りず、結局体が酸素不足となるので、これも何とかしようと心臓と肺が頑張ります。
その結果、同様の症状を起こしてしまうことになります。
息切れの症状とは?
息切れの症状とは文字通り息が切れることですが、もう少し掘り下げてみましょう。
息切れといっても、息が苦しい・呼吸が苦しい・空気が吸えない・胸が苦しい・息が詰まる、など人によって表現は様々です。
激しい運動をした後に息切れするのは異常ではありませんが、
・軽く歩いただけなのに肩で息をしているような状態
・階段を少し登るだけで息切れをして休憩が必要
などは異常である可能性があります。
会話中、こまめに息継ぎをしないと言葉が続かない、なども息切れの症状です。
また、息切れには動悸を伴うことが多いです。人によっては気持ち悪くなったり倦怠感が出現することもあります。
ただし、これらの症状には個人差がありますから、「以前はこのくらいでは呼吸が乱れなかったのに」、という場合は病気のサインかもしれません。
息切れは「年のせい」と考える人が多いのですが、実は心臓の病気が隠れているのに発見が遅れる、なんていうことは現場でよく経験します。
息切れの原因
息切れの原因は多岐に渡りますが、大きく3つに分けることができます。心臓、呼吸器、それ以外です。
息切れや呼吸困難といえば、肺や気管支などのいわゆる呼吸器と呼ばれる臓器の病気を思い浮かべるかもしれません。
しかし実際はそれ以外にもたくさんあります。胸痛といっても心臓以外に原因があることも多いのと似ています。
何らかの異常があって、最終的に動悸や息切れという形で表面に出てくるのです。
それぞれ、解説していきます。
息切れの原因1:心臓
心臓の仕事は全身に血液を送ることです。全身を巡った血が静脈として心臓の右心房に戻り、右心室から肺へと送られ、酸素を血液中に取り込んだ後に左心房に注ぎます。
その後左心室から全身の動脈へと血液を送り、体全体に流します。
この時心臓に病気があると、満足に血液を送り届けることが出来なくなるので、運動時などで酸素の必要量が上がった際に応えられません。
軽い運動でもすぐに脈拍が上がり、呼吸が激しくなります。
結果として息切れを来すことになるのです。心臓の病気で全身に満足に酸素を賄えない状態を心不全と呼びます。
心不全と一言でいってもいろいろありますので、代表的なものを説明します。
弁膜症
心臓は4つの部屋に分かれていて、部屋と部屋の間、部屋と出口の間に合計4つの弁があります。
これらの弁は心臓の拡張と収縮に合わせて開いたり閉じたりすることで、血液が一定の方向に流れていくように調整しています。
これらの弁が加齢やその他の原因で不調を来すのが弁膜症です。
弁の不調には、「開きが不十分」な狭窄症と、「閉まりが不十分」な閉鎖不全症があります。
前者は血液を送りたいのに出口が狭くて一度に送れる血液が少なくなってしまう病気、後者は血液を送りたいのに、手前の部屋に逆流してしまい、その結果として出口に流れる血流が少なくなってしまう病気と考えてください。
弁膜症による心不全は、健診などの聴診で見つかる場合もあるのですが、息切れで受診される方の中にも多く見受けられます。
年齢のせいにしている息切れはもしかすると弁膜症のせいかもしれません。
虚血性心疾患
心臓には、心臓自体に血液を送る動脈があり、その形から冠動脈と呼ばれます。
運動時などで心臓の働きを増やそうとする際、冠動脈の血流量は大きく増大するのですが、冠動脈に動脈硬化などで狭いところや閉塞しているところがあると、満足に血流を増やせません。
こういった狭心症や心筋梗塞と呼ばれるものをまとめて虚血性心疾患といいます。
症状としては胸痛が代表的ですが、典型的な症状でないものが多い病気としても有名であり、運動時の息切れが最初の症状であることもあります。
冷や汗や吐き気がある場合などはより疑わしくなります。問診や有症状時の心電図が診断に有用ですので、この場合は循環器内科を受診しましょう。
不整脈
不整脈にも実にいろいろな種類がありますが、脈が遅いもの、脈が速いものはそれ単独でも循環器内科を受診した方がいいものです。
脈が遅い不整脈は、脈を増やしたいのに増やせないので満足に血液を送れません。
脈が速い不整脈では心臓の拡張が追いつかず、空打ちのような状態になってしまい、こちらも満足に血液を送れません。
息切れはもちろん、安静時でも起こる動悸などあれば、一度循環器内科を受診した方がよいでしょう。
息切れの原因2:呼吸器
肺をはじめとする呼吸器の仕事は、酸素を血液中に取り込むことです。
呼吸器に異常があると血液中に十分な酸素を取り込めないので、全身に酸素を届けることができなくなり、息切れを起こします。
この場合、症状が急に出現しているのか、以前からあるのかで若干アプローチは異なります。
急に出現した息切れでは気管支喘息や肺炎、肺に穴が空いて空気が漏れてしまう気胸などを想定します。
一方で慢性的な息切れの場合はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の頻度が高いです。
COPDは主に過去の喫煙歴を原因として、緩やかに進行する痰の絡んだ咳と息切れが典型的な症状です。
レントゲンなどの画像検査や呼吸機能検査で診断しますので、慢性的な息切れがある方は内科を受診しましょう。
息切れの原因3:それ以外
心臓と呼吸器が代表的ですが、それ以外にも息切れをきたす原因はあります。
貧血が最も頻度が高く、一般的な原因ですが、それ以外にも呼吸を司どる筋肉がやられてしまう神経筋疾患などもあります。
また、身体的な異常がなく、特に不安と関連して起こる精神的要因の息切れもよくみられます。
アンカークリニック船堀の治療方針
息切れを感じているのならば、一度循環器内科を受診しましょう。
原因がわからなければ手の打ちようもありません。
アンカークリニック船堀では心臓超音波検査、心電図、血液検査、レントゲン、ホルター心電図、呼吸機能検査を実施可能であり、必要時に息切れの原因となる心臓疾患、呼吸器疾患の検査を行うことができます。
船堀で息切れを感じたら、アンカークリニック船堀へ
ここまで読んでいただきありがとうございました。
息切れは重篤な疾患が隠れていることもあるので、症状でお困りでしたら、お気軽にアンカークリニック船堀へご相談ください。