ぜんそくについて船堀の内科医が解説します
ぜんそく(喘息)という言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。
ぜんそくは非常に認知度の高い病気です。
ご自身がかかった経験はなくとも、「子どもの頃、友達がぜんそくで学校を欠席していたな」「体育を見学してる子がいたな」などと思い出す方も少なくないでしょう。
このようにぜんそくは「子どもにかかりやすい」というイメージで広く知られています。
しかし、「ぜんそくとは何かを説明してください」と聞くと詰まってしまう方も多いことでしょう。
「呼吸をするときにヒューヒュー音がする」、これも正解ですがこのページではもう少し深堀って、ぜんそくとは何かをアンカークリニック船堀の宮﨑紀樹が解説します。
ぜんそくとは?
ぜんそくとは気道に慢性的な炎症が起こることで、激しい咳や痰、息苦しさや呼吸時に音が出る(ゼーゼー、ヒューヒュー)などの症状があらわれる病気です。
炎症が起こると、人体の他の部位と同様に腫れます。気道は空気の通り道の管ですから、気道の炎症が起こると気道の壁が腫れることで内腔が狭くなります。気道の狭窄といいますが、炎症や気道の狭窄が起こることで上記のような症状が現れるのです。
ぜんそくの人の気道は慢性的な炎症の影響でとても敏感になっています。
少しの刺激でも過敏に反応してしまうので、正常ならばなんともないホコリやタバコ、ストレスでも発作が起こってしまいます。
ぜんそくはきちんとコントロールすることが重要です。
非発作時はほとんど症状がなく、発作時も吸入薬などの治療で概ね元に戻ります。これらは可逆的な炎症といえます。
しかし炎症を繰り返すことで気道の壁は厚くなり、非発作時でも内腔の狭い状況となります。こうなると発作に関係なく常に息苦しさなどの症状が起こり、著しく生活の質が下がります。
発作が起きたときはもちろんですが、発作を起きないようにコントロールすることが重要なのです。
大人のぜんそく
「ぜんそくは子どもの病気」のイメージがありますが、実は大人のぜんそく患者さんも多いのです。
もちろん小児期からぜんそくだった方もいらっしゃいますが、大人になってから発症する方がかなりいます。もはや「子どもの病気」とはいえないですね。
さて、そもそもぜんそくには、アレルギー性と非アレルギー性があります。
特定のアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)があるのが前者で、そうでないのが後者です。
大人のぜんそくは子どもと比較して非アレルギー性が多いと言われています。
アレルゲンがあっても特定できないのか、それとも特定のアレルゲン自体がないのか、明確には判断できませんが、大人のぜんそくはストレス、風邪などの刺激が関わっていることが多いとされています。
ぜんそくの症状とは?
ぜんそくの症状として、以下が挙げられます。
ぜんそくの症状
・咳
・痰
・息苦しさ、息切れ
・呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューという音がでる(喘鳴)
・動悸
・呼吸困難
ぜんそくといえば一般的に気管支喘息のことを指し、これらの症状も気管支喘息の症状です。
しかし中にはゼーゼーやヒューヒューといった喘鳴、呼吸困難は乏しいものの咳だけが前面に出た咳喘息というものもあります。
風邪やCovid-19を患ったあとに咳だけが治らない、咳が激しくて夜眠れない、一度出ると咳が止まらなくなる、などの症状がある方は咳喘息かもしれません。
船堀で診療していても、「せきが止まらないから受診した」という患者さんが実に多くいらっしゃいます。
咳喘息は一定数が気管支喘息へ移行するといわれていますので、長らく咳がある方は内科受診をおすすめします。
ぜんそくの原因
先ほど咳喘息について触れましたが、その他にもいろいろな種類があります。
大きく分けるとアレルギーの関与するアトピー型喘息とアレルギーの関与しない非アトピー型喘息があります。
アトピー型喘息のアレルゲンとしては以下のようなものがあります。
主なアレルゲン
・ダニ
・ハウスダスト
・ペットの皮屑や毛
・カビ
・花粉
・食物
非アトピー型喘息の原因としては、風邪などの呼吸器感染症、運動(運動誘発性喘息)、ある種の薬剤、喫煙(副流煙を含む)、ストレスなどさまざまな刺激が原因となって引き起こされます。
慢性的に炎症を起こしている気道にこれらのものが刺激となり、いわゆる喘息発作が出現します。
日常生活において刺激となるものはできるだけ取り除く必要があります。
ぜんそくの予防
ぜんそくの方の気道は、症状がなくとも慢性的に炎症を起こしている状態です。
吸入ステロイドをはじめとするぜんそくの治療薬を用いて、普段から炎症をコントロールし、発作が起きにくくすることが第一です。その上で発作の誘因となる刺激をできる限り避けることに努めましょう。
ダニ、ほこり、ペットの毛、カビなどはぜんそくを引き起こす誘因となります。
環境整備として室内をきれいにしたり、布団やカーペットを洗ったりすることは有効です。
忙しいとなかなか難しいかもしれませんが、適度な運動・質の良い睡眠・バランスの良い食事を摂るなど生活習慣の改善を心掛けるようにしてください。ストレスがかかることは×です。
ぜんそくの治療法
ぜんそくの治療は、発作が起こらないようにする「普段の治療」と、発作が起きたときに行う「発作時の治療」の2つに分かれています。
普段の治療
発作が起こらないようにするために、慢性的な気道の炎症をコントロールします。
炎症が残っていると発作が起きやすくなりますし、また長期的には気管支の炎症が不可逆となり、呼吸機能が元に戻らなくなります。
使用するお薬は吸入薬と内服薬があり、長期管理薬と呼ばれます。
治療の中心となるのは気道の炎症を抑える「吸入ステロイド薬」です。ステロイドというと恐い薬のイメージがあるかもしれませんが、全身への影響はほとんどありません。
もう一つ、気管支を拡張させる「長時間作用型β2刺激薬」という薬があり、これも吸入薬が基本です。
吸入薬を基本として、テオフィリン製剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬などの内服を適宜併用し、長期管理を行います。
症状が出ないからといって薬をやめてしまうのは禁物です。必ず医師の判断を仰ぐようにして下さい。
ぜんそくは治療の自己中断と再発が非常に多い病気です。
発作が起きてから行う治療
咳や喘鳴、呼吸困難が持続しているのならば喘息発作です。
発作が起きてしまった場合は、短時間作用型β2刺激薬の吸入を行います。普段は使用しない、発作時用の気管支拡張薬(吸入薬)です。
発作には大発作、中発作、小発作があります。ざっくりと分けると、動けなければ大発作、横になれなければ中発作です。
大発作と中発作では病院受診をためらってはいけません。場合によっては救急車を呼ぶべきでしょう。
小発作の場合、まずはあらかじめ処方されている発作時の吸入薬を使用して下さい。それで症状の改善がなければ医療機関を受診してください。
発作時の治療はあくまでも発作時限定です。
発作時の吸入薬だけではぜんそく治療の根本的解決にはなりませんので、注意してください。
アンカークリニック船堀での治療方針
喘息と同じような症状を呈する疾患は少なくありません。
肺炎などの呼吸器の他の病気はもちろん、心臓が原因で起こるうっ血性心不全では、症状が喘息と似た喘鳴と呼吸困難だったりします。
そのため、まずはお話を聞かせていただき、診察所見とあわせて症状が本当に喘息によるものか判断する必要があります。
他の疾患の検索や否定のため、レントゲン、心電図、採血検査を適宜行います。さらに喘息であった場合、肺機能や気道狭窄の程度をみるために呼吸機能検査を行うこともあります。
治療は吸入薬を中心に、内服薬を併用しコントロールしていきますが、同じ系統の吸入薬でも患者さんごとに相性があるので、適切な薬剤選択を目指します。
船堀のぜんそく治療は、アンカークリニック船堀へ!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
このページではぜんそくについて解説しました。
ぜんそくは放っておくと死亡にもつながる疾患なので甘く見てはいけません。
少しでも症状がある方は受診することをおすすめします。
アンカークリニック船堀ではぜんそくの治療も行っています。
どうぞお気軽にご相談ください。