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最終更新日 2024.8.1

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腰痛の原因・セルフケアや整形外科受診のタイミングを解説

腰痛についてわかること

長時間座っていると腰痛がある、重いものを持ち上げる時に腰が痛い。そんな時は、腰に何らかの不具合があるサインかもしれません。


このページでは、
●40-65歳くらいの方の腰が痛いという症状
●筋肉や神経(坐骨神経痛)、椎間板などどんな原因があるのか
●どんなセルフケアがよいのか
●どんな時に整形外科を受診した方がいいのか

について、アンカークリニック船堀 整形外科の藤井 達也が解説します。






腰痛の基本情報

腰痛は整形外科を受診する最も有名な訴えのひとつです。人類の3人に2人は一生のうちに一度は腰痛を経験するとされています。
「腰痛」と一言でいっても人それぞれ症状が違います。臀部が痛かったり、肩甲骨に近いところが痛かったりと様々です。
人それぞれ違う「腰痛」ですが、大きく3つのカテゴリに分けられます。

1.危ない腰痛
2.足の痛みやしびれを伴う腰痛
3.足の痛みやしびれを伴わない腰痛

1の危ない腰痛に関しては、また別の記事で解説します。
重要なのは「発熱を伴う「お股が熱くなる」「夜腰が痛くて目が覚めたり、急に体重が減る腰痛」の3つです。このような症状を認めたら、なるべく早く医療機関を受診しましょう。






腰痛の症状とは?

腰痛の症状は、足の痛みやしびれを伴う腰痛かどうかで大きく分かれます。

②足の痛みやしびれを伴う腰痛
③足の痛みやしびれを伴わない腰痛

足の痛みやしびれはいわゆる「坐骨神経痛」として有名な症状で、左右どちらかのお尻から太ももの外側、ひどいと膝やふくらはぎ、指先まで痛みやしびれが走るという症状です。
程度がひどいと「つまずいたり」「突然足の力が抜けたり」することもあります。

足の痛みやしびれを伴わない腰痛は「腰痛だけ」あるという状況ですが、原因によって症状の出方は様々です。
重いものを持った時、長時間座っている時、立ち上がる時、洗面所で前屈みになった時、など外来で聞いていると人それぞれ本当に症状が違います。






腰痛の原因

クリニックにいらっしゃる患者様のほとんどに「原因は坐骨神経痛ですか?」と聞かれるのですが、まずはそれについてお答えします。

一言で言うと、
●坐骨神経痛が腰痛の原因となることはありません。

腰で何らかの不具合が発生した結果、坐骨神経痛が起こるという順番です。
では、坐骨神経痛が起こる原因、腰痛の原因は何なのでしょうか。大きくはこの3つです。

●腰椎椎間板ヘルニア
●腰部脊柱管狭窄症
●筋肉や靭帯の付着部の損傷や関節の炎症

今回は40-65歳を対象とした記事ですが、高齢者ではこの他に「脊椎圧迫骨折」という「骨」も原因となることがあります。

1つずつ見ていきましょう。




原因1:腰椎椎間板ヘルニア

1つ目は腰椎椎間板ヘルニアです。

腰椎椎間板ヘルニアの典型的な症状は「最初腰痛が起こり、数日して片方の足の痛みやしびれが現れる」というものです。

椎間板は腰の骨と骨の間にあるクッション材みたいなもので、硬い殻の中にゼリーが入っているような作りをしています。
重いものを持ったり、座ったまま床にあるものを拾おうとするとこの殻に亀裂が入り、それだけでも激痛となることがあります。
亀裂からゼリーが椎間板の後ろ側に飛び出すと、そこには腰の神経、いわゆるその後、坐骨神経となる神経の塊があります。

飛び出したゼリーがその神経の塊を押しやることにより、押された神経が担当するふとももやふくらはぎの範囲に痛みやしびれが出現するという仕組みです。
押しやる程度がひどいと、つま先が上げられなくなり、痛みやしびれのある方の足だけ「つまずいたり」「突然足の力が抜ける」という症状を起こすこともあります。






原因2:腰部脊柱管狭窄症

2つ目は腰部脊柱管狭窄症です。
腰部脊柱管狭窄症は50歳以上で発病することが多く、典型的には「立ったり歩いたりすると腰が痛くなったり、足に痛みやしびれが出てきて、座ったりしゃがんだりすると楽になる」というものです。
腰の神経は脊柱管というところを通っているのですが、神経の後ろ側は「黄色靭帯」という靭帯で守られています。その黄色靭帯が何らかの原因で分厚くなり神経を後ろから圧迫するというメカニズムによって引き起こされるのです。






原因3:筋肉や靭帯の付着部の損傷や炎症

3つ目は筋肉や靭帯の付着部の損傷や関節の炎症です。
腰まわり筋肉には、物を持ち上げたり、床からひっぱったりする時に使う広背筋(こうはいきん)、背筋を伸ばす時に使う脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)があり、腰に手をあてて、親指がくるところの骨盤の骨についています。
重いものを振り回したり、持ち上げたりするとその付着部で不具合を起こします。
また腰の下の方では骨盤(仙骨や腸骨)にまたがる靭帯がたくさんあり、こちらも不具合を起こすことがあります。
最後に腰の後ろ側には腰骨どうしをつなぐ関節があり、こちらも使いすぎたり、負荷がかかると炎症を起こしてしまうのです。






腰痛の予防

腰痛にならないために、腰に負担の少ない動きを心がけましょう。
具体的には、腹筋背筋などの体幹のトレーニングです。特に背筋や体幹のインナーマッスルを鍛えていくことで腰(骨や椎間板)にかかる負担を1/3程度まで下げられます。
とはいってもなかなか日常生活の中でトレーニングすることは難しいので、まずは日々の作業姿勢の見直しとストレッチをしてみましょう。






腰痛予防その1:作業姿勢を正す

主にデスクワークの人になりますが、正しい姿勢で作業するのは重要な点が3つあります。

「a. モニターが目線より下にある」
「b. 脇をしめたときにキーボードが肘より下にある」
「c. 太ももの骨と床が並行(膝も股関節も90度曲げて足裏が床につく)」

a.b.は達成している人もいるかもしれませんがa.b.を達成しようとすると自ずと椅子が上がります。そうするとcを達成するのは難しくなるので、足台(段ボールでもok)を用意すると良いでしょう。






腰痛予防その2:ストレッチ

日常生活の中では身体の前側の筋肉を使うことがほとんどです。
そうすると、手が内側に入ってきて、手のひらは後ろ側を向きます。肩も内側に入ってきて、猫背になってしまうことも。

今「私だ」と思ったあなた!背筋のストレッチから始めてみましょう。立ったままでも座ったままでもよいので、背筋を伸ばします。
次に手のひらを天井に向け肘を曲げます。その肘を肩甲骨の真ん中によせるように、後ろにひっぱります。
その時肩に力が入っていないことを確かめてください。手のひらを天井に向けるだけで胸が開き、猫背になりづらくなるでしょう。






腰痛のセルフケア

もし腰痛と診断されたら、なるべく日常生活を維持するようにしましょう。
腰痛の原因はさまざまですが、どの病気(危ない病気でないことが前提です)にも共通して言えることは

●なるべく普段通りの生活を送ること

です。
人間の体は使わないと硬くなってしまったり、筋肉や靭帯が縮んでしまったりして動かすときに痛みを出したりします。
そもそも何らかの原因がある上に、このように身体を使わないでいると余計に痛みを悪化させることがほとんどです。






腰痛の治療法

腰痛の治療法は原因によって変わってきます。
予防やセルフケアは最も大事な治療法にもなりますが、整形外科で提供できるのは、これらに加え、内服(痛み止めや神経痛の薬)、トリガーポイント注射、ブロック注射です。
場合によっては手術治療も選択肢になるでしょう。トリガーポイント注射は筋肉や靭帯由来の痛みに、ブロック注射は神経由来の痛みに使用します。






当院での治療方針

アンカークリニック船堀では、まず原因の究明に力を入れています。
筋肉や靭帯の痛みには超音波検査を用いて、痛みを出している部位を調べ、必要に応じてトリガーポイント注射を用いて癒着した筋膜を剥がしたりします。

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの神経痛ではその人にあった痛み止めを選定し、痛みの程度や副作用を見ながら調整していきます。
当院では、不要な薬を出さないことを心がけています。痛みの程度でブロック注射を重ねたり、必要に応じて手術治療のできる病院をご紹介しています。






痛みを感じたらすぐ診察を!

ここまで読んでいただきありがとうございました。整形外科医のアンカークリニック船堀 整形外科の藤井 達也です。
この記事では比較的若い40-60代の腰痛にしぼり解説しました。
日常的に痛みを感じている。急に腰が痛くなった。などの際には、アンカークリニック船堀にいつでもご相談ください。






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